ちょっとコラム

月が見えない

菜の花、スミレ、タンポポ、梅、そして桜。
いろんな花が咲く季節になると、遠くまで歩きたくなります。

優しい風が気持ちいい。
せっかく歩くなら風を浴びながら夜の散歩もしよう。
今日の月は満月かな、なんて思って空を見上げると、
霞んでぼんやりしている。

もちろん夜空は真冬が一番きれいとわかっているけど、
春は夜の散歩をしながら月見をしたくなります。

実は、春の夜はスッキリ晴れない日が多い。

『照りもせず曇りも果てぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき』
大江千里(おおえちさと)

「朧月」をうたった最古の和歌です。
今から1,000年以上も昔の平安時代から春は霞むことが多かったのですね。

でも、ぼんやりしている月をいにしえの人が朧月と表現したように、
「ぼんやり」していることは「はっきり」見えることより
劣っているわけではありません。

柔らかく幻想的な何かに変わっているのです。

そんな様子を残念に思うのではなく、
おぼろに霞んだ世界を味わうこころが大切かもしれませんね。

日本高速情報センター協同組合 代表理事 草野 崇

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