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ちょっとコラム

掟の門の向こう側

20世紀を代表するドイツ語作家、カフカの短編 『掟の門』 は、
一人の男が「門」を通ろうとし、門番に拒まれ続ける物語です。

男は一生をその門の前で費やしますが、
死の間際、門番から衝撃的な事実を告げられます。

「この門は、お前のためだけにあったのだ」と。

結局、門は男を通すことなく閉じられました。

この物語は、決して遠い国の寓話ではありません。
私たちの日常もまた、目の前の「仕事」や「役割」という門の前で、
懸命に格闘し続けているからです。

目の前の業務に必死に取り組んでいるとき、
ふと「自分は何のためにこれをしているのか?」と、
深い霧の中に迷い込んだような感覚になることはありませんか。

やるからには真剣でありたい。周囲とも良好に連携したい。
そう願うほどに、相手が何を求めているのかが見えなくなり、
焦りだけが募っていきます。

私たちは、つい「手段という門」の前で立ち止まってしまい、
本来の目的を忘れてしまいます。

しかし、大切なのは、
その門の先に何を見ようとしていたのかという「理由」です。

なぜこの仕事を選んだのか。誰を笑顔にしたかったのか。

その「なぜ?」という問いが抜け落ちると、
私たちはカフカの若者のように、
自分専用の門の前で立ち尽くしたまま、
人生という時間を使い果たしてしまいます。

「している理由」が明確になれば、
自ずと「していること」を変える勇気も湧いてきます。

門を通ることができなかった若者にならないように、
いつも「なぜ?」と自分に問いかけること。
それが、閉ざされた門をこじ開け、
自分自身の人生を歩き出すための唯一の鍵なのです。

草野 崇
日本高速情報センター協同組合 代表理事 | 心と思考の翻訳家

このコラムを書いている私の、少し長い散歩道の記録です。
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