誰でもも最初は初心者です。若葉マークのドライバーさんが緊張しながら運転している様子を見て、自分の運転を見直すことが必要かもしれません。
そこで高速道路を安全に走行するために大切なこと「車間距離」についてお伝えいたします。
車間距離を見直す動き
車間距離の目安は100km/hなら100mの間隔が必要といわれます。実はこれを見直す動きがあります。世界では「距離」ではなく「時間」で間隔を測る考え方が広がっているのです。
高速道路と自動車交通に関する調査研究を行う団体「高速道路調査会」がまとめた報告書によると、「100km/h走行時に100mの車間距離を空けると割り込みにより逆に危険度が増し、混雑時は車間距離が短くなりなお一層危険な状況になる」とのこと。また、交通集中の中、状況に合わない車間距離を取れば、交通規則全般に対する信頼や法令遵守意識を損なうことにもなりかねないと指摘しています。
この報告書は車間距離ではなく「車間時間」で適正な間隔を測る方法が推奨しています。前を走行する車両が標識など道路上の目印を通過した時点から、自分の車両がその目印を通過するまでの時間を測るのです。
推奨される車間時間は次の通りです。混雑時は約2秒、混雑していない場合は2秒以上、減速に時間がかかる大型車などは3秒以上が目安。ただし2.5秒以上になると、割り込みされやすくなるそうです。
高齢者や初心者、あるいはABS(アンチロックブレーキシステム)が装備されていない車両は、反応時間が遅れるため注意が必要です。
車間時間2秒の「数え方」 あれこれ
報告書によると、車間距離を時間で測る方法は世界中にあり、特に欧米では一般的になっているそうです。必要とされる車間距離は国によって異なりますが、欧州道路管理者会議では次の内容に結論付けられました。「車間時間2秒」または「速度(km/h)の半分の数字の車間距離(m)」が適正なルール。つまり、車間距離は「100km/hならば50mで問題ない」ことになります。
車間時間2秒の「数え方」は国によって様々です。たとえばポルトガルでは語呂合わせによる方法が考案されています。「um crocodilo, dois crocodilos(ワニが1匹、ワニが2匹)」。
日本でも同様の方法が各地の警察で考案されています。埼玉県警は「0、1、0、2(ゼロ、イチ、ゼロ、ニ)」。「1、2(イチ、ニ)」だけでは2秒よりも短いため、あえて「0(ゼロ)」を2回加えるのだそうです。福島県警いわき東警察署では「3・2・1・ヨシ」と唱えて2秒を把握する方法を啓発しています。高速道路調査会は、童謡『あめふり』冒頭のフレーズ「あめあめふれふれ」の部分を唱えると、2秒を数えることができるとしています。
理想と現実
「100km/hなら約100mの車間距離が必要」という目安は、昭和40年代に東名高速が開通した際に当時の日本道路公団が作成したパンフレットで説明され、1978(昭和53)年、国家公安委員会が作成した「交通の方法に関する教則」に取り入れられて広まりました。高速道路調査会はこのことについて「昭和40年代と比べると自動車の性能が向上し安全性が確保されたため、交通量が著しく増加した現代では理想と現実にギャップが生じている」と指摘しています。
自動車や道路などを取り巻く環境は日々進化しています。従来の概念にとらわれず、新しい考え方も取り入れる必要があるかもしれません。