JAHIC 日本高速情報センター

日本高速情報センター協同組合

ちょっとコラム

書を捨てよ散歩へ出よう

決まったルートはありません。ただ歩きたい方向へ歩く。
それだけで、頭の中のざわつきが少しずつ静まり、
体の奥にこもっていた緊張がすっとほどけていきます。

現代の私たちは、目まぐるしく変化する情報の渦の中で暮らしています。
朝からスマートフォンに目を通し、メールやチャットで絶えず誰かとつながり、
仕事の締切に追われながら、家庭では家事や育児に気を張る。

休日でさえも「充実させなければ」と予定を詰め込み、
息をつく暇もなく過ごしている人が少なくありません。

いつの間にか、「立ち止まる」ことが後ろめたくなり、
「何もしない」ことに価値を見いだせなくなってしまった。
そんな生活は、まるでずっと息を止めて泳ぎ続けているようなものです。

私たちの体は、本来緊張と緩和を繰り返しながら、バランスを取って生きています。
筋肉だって、力を入れたあとにゆるめることで強くしなやかになるのです。

心も同じ。

ずっと張りつめていては、やがてその感覚は麻痺し、
大切なものすら見失ってしまうかもしれません。

だからこそ、散歩が必要なのです。
歩くことで、呼吸が整い、視界が広がり、自分の中に新しい余白が生まれていくのを感じます。

道端の小さな草花に目をとめたり、
どこかの家から漂ってくる夕飯の匂いにふと懐かしさを覚えたり。
そんな一瞬が、忙しさで置き去りにしていた自分自身を引き戻してくれるのです。

散歩は何かを得るための時間ではありません。

体と心をいったん解放し、自分の輪郭を取り戻すための時間です。
この春、書類やスマートフォンをそっと脇に置いて、外の空気を吸いに出てみませんか。

足元の土のやわらかさや、鳥の声のリズムが、きっとあなたの心を静かに整えてくれるはずです。

日本高速情報センター協同組合 代表理事 草野 崇

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