
動物園の片隅、のんびりとぶら下がっている生き物を見たことがありますか?
そう、ナマケモノです。
来園者の多くが「あれ、生きてる?」とつぶやくほど、
ゆったり、というか、ほとんど動かない。
実は、日本の動物園で見かけるのは「フタユビナマケモノ」で、
これでもまだ“動く方”なのだとか。
さらにのんびりな「ミユビナマケモノ」は、南米の熱帯雨林に生息し、
その動きの遅さは天敵の目にも留まらないほど。
つまり、彼らは“動かなさすぎて”生き延びるという、逆説的な進化を遂げたのです。
私たちは「進化」と聞くと、高く飛べること、速く走れること、
未来を予測する知能の高さなど、何かを“加える”ことだと思いがちです。
しかしミユビナマケモノは、何かを“引く”ことで、
危機を避け、命をつなぐ道を選びました。
たとえば、街を駆け抜けるような日常の中、
つい私たちは余分な情報やスピードを自分に足そうとしてしまいます。
新しいスキル、新しい人脈、新しい予定。
けれど、それが本当に自分を豊かにしてくれているのか、
ふと立ち止まってみると、わからなくなる瞬間もあります。
ミユビナマケモノの生き方は、そんな私たちに問いかけてきます。
「すべてを減速してみたとき、本当に大切なものが見えるかもしれないよ」と。
進化とは、決して目に見える“すごさ”ではないのかもしれません。
音もなく進む時間の中で、見逃してきた感覚や景色を取り戻すこと。
それこそが、今の私たちにとって必要な「静かな進化」なのかもしれません。
日本高速情報センター協同組合 代表理事 草野 崇
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