
古武術をご存じですか?
日本の伝統的な武道のひとつで、
武士が戦うための技術を学ぶ過程で生まれたものです。
古武術には「手に持ったものを置くとき、
投げ捨てると身体がぶれ、丁寧に置くと身体の軸が安定する」
という考え方があります。
無駄な力を入れるかどうかによるものですが、
実は私たちの暮らしにも通じることです。
日常の忙しさに流され、つい投げるように物を置くことが増えてしまうと、
自分自身も気持ちが荒れ、慌ただしい時間を過ごすことになります。
しかし、ひとつひとつの所作を丁寧にすると、
不思議と心が安定し、穏やかな気持ちで過ごせるのです。
たとえば、誰かに物を渡すとき、乱暴に投げるように置けば相手は驚き、
不快に思うかもしれません。
反対に、静かに手渡せば、そこに優しさや気遣いが生まれます。
仕事でも同じことがいえます。
メールを打つとき、急いで乱雑に書いた文章は誤解を生みやすくなります。
しかし、一文ずつ丁寧に綴れば相手の気持ちに寄り添うことができます。
デスクの整理もそうです。
書類を無造作に積み重ねるのではなく、必要なものを適切な場所に置くだけで、
作業効率も気持ちの落ち着きも変わってきます。
一日の終わり、帰宅してバッグを床に投げ出すのではなく、
そっと定位置に置いてみる。
着替えを脱ぎ散らかさず、たたんでしまう。
その小さな積み重ねが、自分自身の心を整え、
日々を豊かにしていくのではないでしょうか。
何気ない行動を一つひとつ丁寧に行うことで、暮らしの質が変わります。
「置く」という動作を大切にすることで、
日常が穏やかに、そして美しくなるのかもしれません。
日本高速情報センター協同組合 代表理事 草野 崇
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