

大阪万博を訪れました。
人の波に飲まれるように歩きながら、華やかなパビリオンや最先端の展示に圧倒されつつも、
ふと立ち止まって考えさせられたことがあります。
それは「学ぶとはどういうことか」という問いでした。
万国博覧会の公式な目的は、各国の業績や進歩を紹介し、人類全体の理解を深めること、
そして国際交流と協力を促進することにあります。
最新の技術や文化の紹介であれば、今やインターネットや専門の展示会でも代わりがききます。
しかし「理解を深める」という点では、単なる情報のやり取りでは不十分です。
そこには人が本来持つ姿勢や心構えが必要だからです。
近年のIT技術は、その姿勢を支えるかのように進化しています。
VRを使えば海外の博物館を歩くように学べ、AIは国境を越えた対話を可能にします。
まさに「どこにいても学べる」仕組みが広がりつつあります。
けれども、その中心に据えるべきものは「自分は何者であるのか」
という問いではないでしょうか。
この問いは、与えられた知識の積み重ねだけでは答えにたどり着けません。
自分の経験や人との出会いを重ね、何に心を動かされるのかを振り返ることで
少しずつ形になっていきます。
そして、自分自身につながる歴史を知ることも欠かせません。
祖父母の語る暮らしの記憶や、地域に残る小さな祈りの場を訪ねたときの感覚は、
これからの自分を形づくる道しるべになります。
「私は誰か」という問いを抱き続けることは、仕事にも人生にも共通する大切な基盤です。
新しい技術を導入するときに、その背後にいる人の価値観や文化を理解すること。
それが納得感のある仕組みを生み、組織を強くします。
そして個人としても、歴史や文化を大切にしながら新しい知識を積み重ねていく姿勢が、
自分をより確かな存在へと導いていくのだと思います。
日本高速情報センター協同組合 代表理事 草野 崇